気・血・水について
こんにちは。
薬剤師の「はちみかん」です。
この記事では漢方医学における気・血・水について説明しています。
気・血・水とは
漢方医学において「気・血・水」は人体を構成する3大要素とされています。
東洋医学の理論では、気・血・水の3要素のアンバランスによって病気になると考えられています。
気について
気とは…
目で見ることができない、生体のエネルギーのことです。
「気」は人体を循環し、身体活動だけでなく精神活動も含めた生命としての機能的活動を統括する役割を担っています。
[st-kaiwa6]気は動かす・守る・温める働きをもちます。
気には大きく5つの作用があるとされています。
- 推動作用(すいどうさよう):動かす
- 温煦作用(おんくさよう):温める。気は陽の性質をもち、気が身体をめぐることで全身を温める。
- 防御作用(ぼうぎょさよう):守る働き。外からの病邪の侵入を防ぐ。また血や汗が漏れることを防ぐ。
- 固摂作用(こせつさよう):保つ作用。
- 気化作用(きかさよう):変化させる。
気の不調
気の不調により生じる主な病態には
- 気虚(ききょ)
- 気鬱・気滞(きうつ・きたい)
- 気逆(きぎゃく)
の3つがあります。
気虚
◆気が不足している状態。
気が不足することで、気の機能が低下します。
【症状】
食欲不振、疲労倦怠感、無気力、手足の冷え
など…
気鬱・気滞
◆気の流れ滞っている状態。
気のめぐりが悪くなり体内に熱やガスが溜まったり、詰まった感じがします。
【症状】
抑うつ、咽喉不快感、腹部膨満感 …
気逆
◆気が逆行している状態
気が上昇しすぎて、下降する力が不足し、気が頭部へ逆上している状態です。
【症状】
動悸、頭痛、冷えのぼせ …
血について
血とは…
血管を流れる赤い液体のことです。
気と水から作られるのが血です。
「血」≠「血液」で、「血」には血液と同じような働きもありますが、血液と違って「血」は流れが止まることもあります。
血には大きく2つの働きがあります。
- 栄養を運ぶ働き
- 全身を潤す働き
血の不調
血の不調により生じる主な病態には
- 瘀血(おけつ)
- 血虚(けっきょ)
の2つがあります。
瘀血
◆血の流れが滞っている状態。
血の流れが滞ることで、体内に潤いや栄養が行きわたらず肌が乾燥したり、内出血ができたりします。
【症状】
腹部痛、内出血…
血虚
◆血が不足している状態。
血が不足することで、立ちくらみや月経異常が生じたりします。
Hb(ヘモグロビン)などの貧血の検査値は低下していなくても、血が不足している場合があります。
【症状】
貧血、不眠、動悸、脱毛…
水について
水とは…
血(けつ)以外の体液のことです。
「水」は無色の液体で、体を潤す役割を担い、水分代謝に関与しています。
また体を冷やす作用をもち、体温調節にも関与しています。
中医学では水のことを津液(しんえき)と表現することがあります。
- 「津(しん)」
流動性が高いサラサラしたもの。
汗や尿として余分な熱を体内から出す。
- 「液(えき)」
流動性が低く体内をゆっくり流れるもの。
関節液や脳脊髄液、鼻腔粘膜など体内に潤いを与える。
水の不調
水の不調により生じる主な病態には
- 水滞・水毒(すいたい・すいどく)
があります。
水滞・水毒
◆水のバランスが乱れている状態。
水の流れが滞り、体内で水分のバランスが乱れることで浮腫みや、めまいが生じます。
【症状】
浮腫み、耳鳴り、頭痛…